木曽馬の手綱を引いて開田小学校へ向かう伊藤忍さん。毎週木曜日の「みちくさの時間」で伊藤さんは、児童らに安全な馬の乗り方や引馬のしかたを教えるなど、木曽馬を通じて子どもたちとの触れ合いを活発に行っている。
伊藤さんは伊那市の出身。子どものころから動物が大好きだった。大学時代は農学部の獣医学科で学んだ。キャンパスに馬場があったことから、馬術部に入り4年間を過ごした。
大学を卒業した年に獣医師の国家試験に合格。日本中央競馬会(JRA)で獣医師として働くことになった。
北海道の函館競馬場をはじめ茨城や滋賀のトレーニングセンター、千葉の競馬学校などに勤務し、馬の診療や手術、馬体のチェックなどを担当した。
数年前、視察で木曽馬の里・乗馬センターを訪れた。足が短く胴長の日本在来馬を見て「走ることだけに特化した競走馬とは違う」と、本来の馬の姿を見たような気がした。
伊藤さんはすでに千葉に居を構えていたが、定年退職を機に3年前、開田高原へ移住。現在、獣医師として木曽馬の繁殖や体調管理などの手伝いをしている。学校近くの自宅では自身も木曽馬の親子を飼育している。
町へは「移住希望者の住宅確保に一層力を入れて欲しい」と願う。
議会から 町では近年、移住政策に力を入れており移住者も増えている。ただ、依然として空き家希望者の需要に応えられない状況もあるので、さらなる住宅整備を要望していきたい。