住民の声29
獣の個体増加
根本的な対策必要では

難波 崇さん
難波なんば たかしさん(44歳・日義)

なめした革の前に立つ
難波さん
 ハンターでありレザークラフト作家でもある難波さんは、黒川沿いの開田高原へ向かう道の途中に解体施設を兼ねた工房を構えている。自ら猟友会に所属して狩猟を行い、イノシシやシカ、クマなどの獣から得られる革を使って革製品を製作している。
 「獣皮を無駄にしない」を信条に、狩猟後は丁寧に油や肉を除去したうえで、獣皮を東京のなめし工場に送り、約1か月かけて加工、天然素材で色づけ。戻ってきた革を使い名刺入れやペンケース、ブックカバーなどを手作業で仕上げている。特に文庫本サイズのブックカバーは人気が高く、町内のカフェなどで販売されているほか、ふるさと納税の返礼品としても扱われている。
 また、捕獲した獣の肉も無駄にせず解体・加工して冷凍保存。町内外の旅館や飲食店へ卸している。肉の需要は高いものの、生産が追いつかないのが現状だ。
 難波さんは「今の生活は決して楽ではないが、増え続ける獣を獲り、地域を守りながらひとつの産業として成り立たせていきたい」と話す。
 一方で「獣の個体は増えているのに、捕獲する人は減っている。猟友会に頼るだけでは限界があり、今後はより根本的な対策が求められる」と感じている。

議会から 当面は猟友会の協力が不可欠だが、会員の高齢化や減少を踏まえ、会のあり方を見直すとともに、持続可能な獣害対策を検討していきたい。