会議結果

意見書・決議

平成17年第1回定例会
以下全文記載
国民の生命と財産を守る防災・生活関連予算の充実を求める意見書

(可決 全会一致)

 昨年、日本列島に猛威を振るい多くの犠牲者と多大な被害をもたらした風水害や土砂災害、新潟中越地震での防災予知と公共施設の安全神話の崩壊は、改めて防災や生活関連重視の公共事業の重要性が再認識された。
 10月20日の台風23号では、全国各地で崖崩れ、土砂災害、高波、河川の氾濫により、死者87人、行方不明者6人となる、過去10年で最悪の人的被害となった。
 また、10月23日には、震度6強が続いた「新潟県中越地震」が発生し、死者40人、負傷者は4,656人、106,400棟以上の住宅被害も起こっている。
 現在、国の重点施策として都市再生を口実にした都市部への事業費のばらまきが行われる一方で、来年度の治山治水などの防災関連予算は他の項目と横並びで5%のマイナス予算に加え、国の河川では改修工事費が全く無くなる事務所や、河川修繕や治山施設修繕などの補助金の大幅な削減が行われている。
 今年は、戦後最悪の被害をもたらした「阪神淡路大震災」が起こって丸10年となる。死者6,400人、負傷者43,100人を出した都市直下型地震が残した教訓は、先の「新潟県中越地震」で生かされたか。構造物の免・制震や地盤の液状化予測をはじめ、防災に資する技術的進歩は進んでいるが、住宅や学校をはじめ、新耐震基準に適合しない既存建築物の耐震改修は遅々として進んでいない。
 近い将来「東海」や「東南海・南海」などの大規模地震の発生が予想される中で、少しでも人的被害を抑えるには、「阪神淡路大震災」の教訓を生かした対策を急ぐ必要がある。
 安心して安全に暮らせる地域整備めざして、国民の生命と財産を守る防災・生活関連予算の充実を求めるとともに、公共構造物の品質・安全を守るため、発注・監督官庁の設計・施工、監督・検査、管理体制を充実することが緊急の課題と考えている。
 よって、一日も早いその実現のため、次の事項を実行するよう強く要望する。

①国民の生命と財産を守るため、水害、地震、津波、山崩れ、海岸保全などの遅れている防災関連事業を早期に充実させること。
②災害時に重要な役割を果たす既存の公共施設・建造物への維持補修費を拡充すること。
③指定避難施設を含む公共(公営)施設や公共交通機関のバリアフリー化や耐震対策を推進すること。
④木造住宅の耐震無料診断の実施と耐震助成制度を確立すること。
⑤個人住宅・企業が被災時に再建できるように、被災者生活再建支援法を充実させること。
⑥公共構造物の品質・安全を守るため、発注・監督官庁の設計・施工、監督・検査、管理体制を充実すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成17年3月28日

大阪府和泉市議会

「市場化テスト」や「給与構造見直し」に反対する意見書

(可決 全会一致)

 景気回復がいわれる一方、地域間格差、所得階層間格差が拡大しており、憲法が保障する基本的人権を具体化し、社会的不平等を是正するとともに、公正な社会づくりを進める国と地方の公務・公共サービスの役割発揮が求められている。そのために必要なことは、第一に、地域による格差、所得による格差を縮小し、公正な社会をめざす理念を明確にすることであり、第二に、その役割にふさわしい水準のサービスを提供する制度を維持することであり、第三に、サービス提供を支える人材を確保することである。しかし、昨年12月24日に閣議決定された「今後の行政改革の方針(新行革大綱)」 は、国と地方の財政悪化の下で、国の公務・公共サービス減量化、地方自治体への公務・公共サービス減量化押し付けを行おうという政府の方針を示している。小泉改革の「本丸」とされる郵政民営化が、ユニバーサルサービスを骨抜きにし、地域間格差を拡大することが指摘されているように、公共サービスの民間開放では国民の利益と権利を損なうことが懸念される。
 三位一体改革も、税・財源委譲や国による財政調整が不十分なままでは、教育や福祉の水準維持が困難になる。国と地方が協力し、一定水準の公務・公共サービスを提供して格差を縮小するという理念に基づく財政制度を確立することが必要である。
 また、「市場化テスト(官民競争入札)」がすべての国・地方自治体のサービスを営利企業にゆだねる手段として導入されようとしている。「市場化テスト」では、委託企業が契約のたびに変わることも想定しており、安定的、継続的に、求められる水準のサービスを提供することが困難である。営利企業による効率的な経営の方を善とする立場でなく、公正な社会のための公務・公共サービスを提供することが必要である。
 さらに、政府・人事院は、地方勤務の公務員賃金が民間賃金より高いとして、同一の職務には同一の給与を支払うという職務給原則を事実上踏みにじり、大幅な地域間格差導入を狙っている。これは職員の士気を低下させ、人材確保を困難にするだけでなく、国から地方へ、地方から民間へと賃下げの悪循環をもたらし、地域経済をいっそう深刻な状況にすることが明白である。
 したがって、関係各方面に以下の諸点の実施を強く求める。

1.住民に対する行政サービスの確保に必要な権限と財源を確保すること。
2.国民の権利保障を後退させる公務・公共サービスの民営化や「市場化テスト」は行わないこと。
3.人材確保を困難にし、地域経済を疲弊させる公務員賃金への地域間格差の導入は行わないこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成17年3月28日

大阪府和泉市議会

障害者施策への「定率(=応益)負担」の導入に反対する意見書

(可決 全会一致)

 国は2004年10月、社会保障審議会に「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」を示し、障害者施策の抜本的な改編を行うべく準備を進め、05年1月開会の162回国会でそれらの内容を盛り込んだ「障害者自立支援給付法(仮称)」を成立させようとしている。とりわけその中で、福祉サービスや公費負担医療を受ける際に、利用者から1割の定率(=応益)負担を徴収するとともに、食費等の自己負担を求めることは、障害者とその家族の生活に深刻な打撃を与えることとなる。
 定率(=応益)負担は第一に、入所施設などにおいては基礎年金額をはるかに超過する額となり障害者の収入だけではまかなえないこと、第二に、多くの福祉サービスの利用を必要とする重度障害者ほど多額の利用料が徴収されること、第三に「低所得者への配慮」についても生活保護世帯と同一生計者全員が市町村民税非裸税、収入がゼロの人にしか適用されないなどその範囲がきわめて限定的であることなど、障害者とその家族の影響は計り知れない。
 また、制度全般に関わる大がかりな改革にもかかわらず、実施に必要な準備期間が全く考慮されていないなど、地方公共団体においても深刻な混乱をもたらすことが懸念される。地域住民のくらしを守るため、応益負担の拙速な導入は行わず、障害者・家族・関係者、地方公共団体との十分な協議を行うよう、強く要望する。

1.障害者医療・障害者福祉サービスヘの定率負担導入を見送ること。
2.制度改革に関して関係者・自治体と十分な協議を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成17年3月28日

大阪府和泉市議会

発達障害児(者)に対する支援促進を求める意見書

(可決 全会一致)

 自閉症、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、アスペルガー症候群など発達障害への対応が緊急の課題になっている。発達障害は、低年齢で現れることが多く、文部科学省の調査では、小中学生全体の6%に上る可能性があるとされている。
 平成16年12月に発達障害者支援法が制定され、本年4月から施行される。この法律には、国および地方公共団体の責務として、発達障害の早期発見や支援などについて必要な措置を講じるよう示されている。
 発達障害に対しては、幼児期から学齢期、就労まで一貫した支援策が必要である。
 それには、教育・福祉・保健・就労などの関係機関が連携し、一人ひとりの状況に応じた個別指導を行うなどの対応が欠かせない。
 国は、都道府県ごとに発達障害者支援センターを設置するとしているが、よりきめ細かな支援対策を実施するには市区町村の役割が極めて重要であり、支援のネットワークづくりが求められる。
 よって、本市議会は政府に対し、下記の項目を早急に実施するよう強く要望する。

一、各市区町村が関係機関と連携して支援体制を整備する際に、何らかの財政支援を講じること。
一、発達障害の早期発見に向けて、乳幼児健診の充実と、新たな児童健診制度(5歳児健診)や就学時健診制度を確立すること。
一、保育園、幼稚園、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)における発達障害児の受け入れと、指導員の養成・配置をすること。
一、発達障害者のための雇用支援コンサルタント・相談員等を配置すること。
一、専門医の養成ならびに人材の確保を図ること。
一、発達障害児(者)への理解の普及、意識啓発を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成17年3月28日

大阪府和泉市議会