佐保小学校と鼓阪小学校の統廃合
建設費用を問題視、統廃合慎重論も

 市教育委員会は、鼓阪小学校が児童数100人未満の過小規模の学校であることから、集団活動ができる人数を確保し、早期に教育環境を整える必要があるとして、佐保小学校との統合を計画しています。校舎は現在の佐保小の校舎を解体し、新校舎を建設する予定です。
 新校舎の建設費用は当初は約51億円と積算され、令和6年3月定例会で議会はこの債務負担行為(6年度から9年度の間に支払う限度額)を含めた当初予算を可決しました。
 しかし、8月に行われた入札が不調となったため、市は、急激な資材価格の高騰などで予定価格が低すぎたことが理由だったとして、事業費の約51億円に約12億円を追加して総額約63億円とする補正予算案を9月定例会で提出しました。しかし、この新校舎の仕様はコストが高く、今後の市の標準になれば将来の負担増が懸念されるなどの理由から、議会は増額を認めませんでした。
 市は12月定例会で、空調設備の数や構造に影響のない飾り部分などの設計を見直してコストを削減し、約9億円の増額とする補正予算案を提出しました。また、関係者らから請願も提出され、議会で審査を行いました(6ページ参照)。
佐保小学校新校舎の建設
 約9億円の増額については、「51億円の枠組みで建設すべき」「市の提案どおり増額し、新校舎を一刻も早く建設すべき」など、その手法については意見が分かれ、中には「51億円で収まるよう設計変更を行い建設すべき」との意見もありました。議論の中で、近隣の他自治体では、小学校の新校舎を約40億円で建設する事例も明らかとなりました。
 建設費用に焦点が当てられましたが、新校舎への建て替えに反対する意見はなく、既に解体工事が始まっているため、施設の一部が使用できないという現在の教育環境を改善するためにも、早期建設を求める声が相次ぎました。
鼓阪小学校の統廃合
 2校の統廃合についての議論もあり、「統合を容認する」「統合は保留すべき」「佐保小の建設と統合の問題は切り離して検討すべき」などの意見が出され、統廃合そのものに対する慎重論も見られました。
 そのほか、建設費用の上限額を市が事業者に伝えないまま設計させていたことが判明し、市の事業の進め方を非難する意見がありました。
 最終的には、議会は約9億円の増額部分を削除した修正案を賛成多数で可決し、当初予算で成立している約51億円の枠組みで新校舎を建設することを市に求めました。
主な議論の内容
佐保小新校舎の建設:予算を増額し一刻も早く建設/51億円の枠組みで建設/設計の変更を行い建設
鼓阪小の統廃合:統合容認/保留すべき/新校舎とは切り離して検討
小中学校体育館にエアコン導入
事業には賛成も「調査が必要」
 このほか12月定例会では、市立小中学校の体育館へのエアコン導入に向けた設計に関する補正予算(1億8600万円)が提案されました。
 議会では、エアコンの導入には賛成するものの、市の計画は電気に依存するエアコンが前提であったため、他自治体で導入されているガスも含めて、まずは最適な手法の調査が必要という意見があり、調査費用の2000万円のみを認める内容に修正されました。この中で、エアコン導入後のランニングコストや災害など有事の際の運用等、電気とガスのメリット、デメリットを総合的に検討することを求めました。
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