市が打ち出した計画は、市内に24カ所ある公民館のうち「基幹型」とする6つの公民館を除いて「ふれあい会館」にその機能を移転しようとするもので、既存の公民館を廃止する内容です。
ふれあい会館は、全ての市民が地域社会の触れ合いの中で日常生活を送ることができるよう、地域の交流活動や福祉活動の拠点として市が設置しています。市内全ての地域には設置されておりませんが、現在20のふれあい会館があり、施設のある地域の自治連合会や自治会等が運営を行っています。
公民館とふれあい会館は「人が集まり交流する場」という共通点がありますが、その性質は大きく異なります。=上記表参照。公民館は社会教育の場で、市生涯学習財団が専門職員を配置して運営しているのに対し、ふれあい会館は地域住民が主体的に運営し、自治連合会や自治会等に対して指定管理料を市が支払っています。
公民館を廃止し、ふれあい会館に転じていくことは、市が進める「行財政改革」の視点からすれば財政負担が少なくなる利点がありますが、「社会教育」の場を市民から奪うことになりかねません。
これらの問題は長年、市にふれあい会館の設置を要望してきた飛鳥地区に対して市が「飛鳥公民館の廃止と引き換えにふれあい会館を建設する」と打診したことを皮切りに表面化し、その後公民館を順次廃止していく方針を市が示しました。
この唐突な廃止方針に対し、飛鳥地区などで市に対する反発が広がり、市は9月末にこの計画を撤回することになりましたが、市議会に対する説明や市民との対話がないまま示された市の方針に12月定例会でも指摘が相次ぎました。
廃止撤回後の12月定例会でも指摘が相次ぎました
トップダウンで関係者に下ろす今の計画の進め方は、自らの町への誇りと自治意識を持つ市民を育てていくことには逆行している。
公民館の廃止計画は唐突で市が密室で決めている感が否めない。
将来的な人口減少による利用者の減少が、過大な推測になっていないか。
経費削減を優先するあまり、指定管理の下で働く人の姿が市は見えているのか。
市民サービスの低下につながるような改革については、市民の理解が必要で、なぜ改革しないといけないのか、納得のいく丁寧な説明と理解していただけるだけの明確なビジョンがないといけない。